1. 天然ゴム(NR)
1493年コロンブスが航海の途中で、ゴムボールに出会ってから、346年後(1839
年)グッドイヤーが加硫法を発明する。それからさらに40年後、ガソリン自動車
が発明され、そのタイヤに利用されて使用量が拡大していく。天然ゴムの供給地
はタイ、インドネシア、マレーシアであり、世界の70%を占めており、日本は輸
入量の70%はタイからである。ゴムの木はトウダイグサ科のパラゴムノキ
(Heven brasiliensis)がほとんどであり、すべて栽培されている。その寿命は20年とされている。乾
期や落葉期には産出量が減少し、価格が上がる。生産量の調節はできず、価格が変動しても生産量は変
わらない。樹液の化学成分はイソプレンの重合体であり、炭素と水素のみから構成されている。弾性や耐
摩耗性など物理的強度が大きく、タイヤ、ベルト、ホースなどに使用される。反面、耐熱性、圧縮永久
歪み、耐油性が悪く、シールパッキンなどには使用しない。
|
2. イソプレン ゴム(IR)
天然ゴムと同じものを作りたいという願いが達成されたのは1954年であ
り、最初の合成ゴム(BR)が出現してからから30年を経過している。
グッドリッチがイソプレンモノマーから高シス-1、4-ポリイソプレンを合
成したのが始まりである。 石油ナフサから得られるイソプレンを高分子
にしたもので、当然天然ゴムと同じ化学構造をもつものである。
しかし全く同じではない。天然ゴムにはポリイソプレン以外の物質が数%含まれており、それが違いを
生み出しているようである。合成ゴムであるから純粋であり、色が透明で白色製品に用いられるが、他
のゴムとブレンドしての用途が多い。性質も、用途もほぼ同じである。
|
3. スチレンブタジエン ゴム(SBR)
名前の通りスチレンとブタジエンの共重合体である。天然ゴム
の代替として開発され最も多量に生産されている合成ゴムで
ある。炭素と水素から構成されているのはIRと同じである。
特性は天然ゴムに似ていて、鉱油に耐性はないが、植物油に対
する抵抗がある。天然ゴムよりは反発弾性が少なく、また引き
裂き強さも小さい。用途もNR,IRと同じである。
|
4. ブタジエンゴム ゴム(BR)
1922年頃から最初に作られた合成ゴムでありブタジエン
のみの共重合体である。重合の形態にはビニル型、シ
ス型、トランス型の構造異性体があるが、製法によって
これら 3 種の構成割合が異なり、その割合により性能
も異なる。シス型が、90%以上のものが合成ゴムとして
使用される。(ビニル型が60%程度になると、塗膜や、
包装用フィルムに使用)。代表的な汎用ゴムであり、耐
摩耗性、反発弾性、耐老化性、低温特性などに優れ、透
明性も良い。反面耐油性は良くない。反発弾性の大きいのを利用して卓球のラケットに使用されて
いる。タイヤのトレッド、サイドウォール、ベルト、ホース、その他工業製品に使用されている。
|
5. クロロプレン ゴム(CR)
ネオプレンという商品名で有名な合成ゴムである。(1931年デュポン社か
らデュプレンの名で発売されたが、1937年ネオプレンに改名)。塩素原子
を含むため、難燃性はあるが、比重は大きい。低温時に結晶化しやすいと
いう欠点がある。しかし性能にバランスがとれており、使用実績も長く特
殊ゴムの中での汎用ゴムといえる。接着剤としても利用される。自動車用
部品、一般工業用品、接着剤、建築用、電線などに使用されるゴムである。
|
6. ニトリル ゴム(NBR)
ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体であり、アクリ
ロニトリルの含量によってゴムの性能が決まる。
ブタジエンが多いと耐寒性が向上し、アクリロニトリルが
多いと耐熱性や耐油性が向上する。圧縮永久歪み、引張り
強さ、耐摩耗性、耐油性が良いため、シール材には欠かせ
ないゴムである。近年塩化ビニール製手袋が環境問題(可塑剤のフタル酸ジエチルヘキシル)で使用
が規制されたため、炊事用、作業用手袋等にこのニトリル ゴムが使われている。自動車用部品、
Oリング、オイルシール、各種シール材などに使用。
|
7. ブチル ゴム(IIR)
イソプレンと少量のイソブチレンの共重合体である。
二重結合が少なく、このことが特徴でもありまた欠点で
もある。この不飽和度が低いために加硫速度が遅く、他
のゴムとの混合使用が困難である。耐熱、耐寒、耐候性
に優れ、油、水、薬品にも強い。反面、圧縮永久ひずみ
が悪く、弾性も劣り、鉱油に対する耐性がない。
特にガス透過性が低いことで、タイヤのインナーチューブに、また電気特性が良いため電線被覆に使
用される。その他粘着性があるため建築用シールテープに、振動減衰が速い(反発弾性が低い)ため
に各種防振材、衝撃緩衝材に使用される。
|
8. エチレンプロピレン ゴム(EPDM)
エチレンとプロピレンの共重合体に少量の第三成分(CSM)を含
む三元重合体である。二重結合が少ないことはブチル ゴムに
似ている。ゴムの中で最も軽いゴムであり、近年生産量の増加
しているゴムである。耐候性、耐寒性、耐溶剤性、耐薬品性に
優れており、自動車用、工業用、建築用、など用途は広い。
ただ鉱油に対しては全く耐性がないゴムである。耐水性、耐蒸
気性にも優れているので家庭用給水、給湯器に多く使用される。
|
9. ウレタン ゴム(AU、EU)
ウレタン ゴムは非常に多くの種類があるが、活性水素をも
つポリオール(ポリエステル、ポリエーテル)(R-OH)とイ
ソシアネート(R-N=C=O)を反応させて作られる、ウレタン
結合(-NH・CO・O-)を持つ高分子化合物である。
分子構造による分類
1. ポリエーテルタイプ(EU)はポリ(オキシプロピレン)
グリコール(PPG)やポリ(オキシテトラメチレン)
グリコール(PTMG)など二官能ポリエーテルとジイ
ソシアネートを反応させて作られる。特徴は軟質から硬
質まで幅広いゴム製品が得られ、機械的性能、耐熱老
化性、耐磨耗性、耐化学薬品性などに優れるが、耐熱水
性に劣る。ポリエステル系に比べ、耐寒性やゴム弾性に
優れるが、機械的強度に劣る。加水分解は起さない。
2. ポリエステルタイプ (AU)
これはアジピン酸と多価アルコールの重縮合によって得られるアジペート等とジイソシアネートの
重付加反応で作る。特徴は機械的強度が高く、広範囲の物性を持つ製品が得られる。
ポリエーテル系と比較して機械的強度は高いが、耐寒性は悪い。他の性質はポリエーテルと類似し
ている。このタイプは加水分解を生じるが、ウレタン結合自身が加水分解するのではなく、ポリオ
ール(R′)のエステル結合が水と反応してアルコールと酸に分解されることによる。
成型法による分類(三種)
1. 液状の原料を使用する注型タイプ、
2. 一般のゴムと同じ混練(ミラブル)タイプ、
3. 射出成形(インジェクション)タイプ
一般的に、ウレタン ゴムは他のゴムに比べて強度が大きく、耐摩耗性、耐油性、耐オゾン性が優れ
ているが、耐熱性に乏しく、また、ポリエステルタイプは酸、アルカリ、熱水、水蒸気などの加水分
解に弱い。用途としては、低速運搬用タイヤ、その他耐摩耗性、耐油性、耐オゾン性を必要とする
工業用ゴム製品に用いられる。
|
10 . シリコン ゴム(VMQ,FVMQ)
シリコン ゴムにはポリシロキサンにメチル基が結合した
メチルシリコン ゴム(VMQ)と、フルオロアルキル基が結
合したフルオロシリコン ゴム(FVMQ)がある。実際は VMQ
が多く使用されており、それが代表となっている。
高度の耐熱性、耐寒性、耐オゾン性を持ち、電気特性や非
粘着性にも優れている。自動車関連に使用される。
生理的にも安全であるから医療関連機器、食品関連機器に
も多く使用される。機械的強度(引張り強さ、耐摩耗性、
引き裂き強さなど)に弱いのが欠点であり、運動用シール
パッキンには使われない。そのほかガス透過性が大きい、熱膨張が大きいなどがあり、また価格も
高い。FVMQは耐油性、そのたに優れ、万能的性格をもっている。シリコン ゴムには、この他に液状で
供給され、常温で硬化(加硫)するRTV(Room Temperature Valcanizable)またはLTV(Low
Temperature Valcanizable)があり、シーリング剤や、接着、あるいは型取りなどに使用される。
|
11. アクリル ゴム(ACM)
アクリル酸エステルを主成分とし、エチレン主鎖に極性の高いエス
テル基の側鎖をもっていることでジエン系ゴム(NR,IR,RBR、BR)
に比べて、優れた耐熱性、耐油性、耐オゾン性を持っており、オイ
ルシール、Oリング、ホース等の自動車部品の用途が増えている。
水やエステル系合成油に膨潤軟化する。これまで機械的強度や耐
寒性、加工性などが悪かったが、徐々に改善され、コストパーフォ
ーマンスも良いため、自動車のメンテナンスフリー化と共に用途を広げている。
|
12. クロルスルホン化ポリエチレン ゴム(CSM)
ハイパロンの商標で有名なゴムである。エチレンに塩素と亜
硫酸ガスを作用させて作る。塩素原子を有しているためクロロ
プレン ゴムと似た性質がある。主鎖に二重結合を持たないた
めに耐候性、耐オゾン性、耐熱性、耐薬品性に優れている。
着色し易く、変色も少ないため建材用、電線、ライニングなど用途は広い。低温特性は悪く、低温で結
晶化し易いゴムである。
|
13. フッ素ゴム (FKM,FEPM,FFKM)
フッ化ビニリデン系(FKM)と次の二つのタイプ
FEPMとFFKM がある。分子式で見るように水素原子が
フッ素原子にどれだけ置き換わっているかだけの違
いである。だが主流はFKMである。フッ素ゴムは優れ
た耐熱性、耐油性、耐薬品性により、化学プラント
や半導体関連に幅広く使用されている。多くの項目
は他のゴムより優れているが、リン酸エステル系作
動油、有機酸、ケトンエステル、アミン系薬品等に
は注意が必要である。水素がフッ素にすべて置き換
わっている場合は当然性能はアップするが価格もア
ップする。
|
14. 水素化ニトリル ゴム(HNBR)

ブタジエン(NBR)の二重結合に水
素を結合させ、飽和させる。
水素化率が高くなるほど耐熱性、耐
候性、耐オゾン性などが向上する。
100%近く水素化されたものはアクリ
ルゴムに近い耐熱性を持つように
なる。特に耐冷媒性、耐冷凍機油性が向上するので、エアコンのパッキンやOリングなどに使用される。
|
15. エピクロルヒドリン ゴム(CO,ECO)
プロピレンと塩素からエピクロルヒドリンが作られ、そ
の単独重合体がCOであり、エピクロルヒドリンとエチレ
ンオキサドとの共重合体がECOである。耐熱性、耐油性、
低温特性のバランスが優れ、また耐オゾン性、難燃性が
ある。COの欠点は低温特性や反発弾性であるが、ECOはこ
れを改良したものである。これらはほとんど自動車関係
に使用されるゴムである。
|
16. 多硫化ゴム
1931年にチオコールの商品名で発売された比較的古いゴムである。多硫化アルカリ (Na2Sx
X=1〜4.5)と有機二塩化物とを水中で乳化重合して作る。一般の合成ゴムとは全く組成を異にして
おり、40〜80%も硫黄を含んでいる。そのためか悪臭がする。耐油性、耐溶剤性、気体の不透過性に
優れているが、機械的強度、耐熱性、圧縮永久ひずみなどが不足し、シールパッキンなどには使用さ
れない。室温加硫性と耐候性、耐オゾン性などで、建築用弾性シーリング材、道路の目地シールなどに
使用される。
|
|